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2007年8月12日 (日)

三つの視点の物語 その1

アスランのことを考えながら、その過程で頭に思い浮かんだあれやこれを書き連ねてみました。
わかりにくい文章だなと自分でも思うのですが、何からどういう順番で説明したらいいのか、上手くまとめられませんでした。ごめんなさい。

「DESTINY」というお話は、とにかく分かりづらい作品でしたよね。何故かと言えば、監督がこだわった『キャラクターの行動と感情だけで見せる演出』のせいで(セリフや独白が少なくて)、各キャラの心情が見ている側に伝わりにくかったからだと思うのですが、それだけでなく、つくりがとても複雑だったと思うのです。(監督曰く『可能な限り考え抜いたシナリオと構成』だそうですけど・・・)
そのために、見ている視聴者を混乱させてしまったのだと思うのです。

「DESTINY」の構図はシン、アスラン、キラの三軸だと監督は仰ってました。でも、最初からそういう目で見ていた視聴者はほとんどいなかったのではないでしょうか。

「DESTINY」の新しい主人公はシン・アスカ。
最初にそう発表され、シンがオーブ戦で家族を失うあの衝撃のシーンから始まった「DESTINY」。放送が始まった当初、視聴者は【DESTINYはシンの成長物語だ】と思って見始めたと思うのですよ。

シンが主人公。ザフトに戻ったアスランは、戦争で親を亡くして自らザフトに入るという同じような経験をしているし、きっとシンの気持ちの分かるよき先輩として直接アドバイスやフォローをして彼の成長に係わっていくのだろう。前作の主人公であるキラも、最初は別の場所にいてもどこかで合流し、シンの感じ方や考え方にきっと大きな影響を与えるのだろう。そして、AAとミネルバは最後は共闘して、今はまだ見えない強大な敵を倒すのだろう。

こんな風に思っていたのではないでしょうか。実際、1クールまではこんな流れで話が進んでいるように見えたと思うのです。
ファーストの続編であるZと比べていらっしゃる方も多かったように思いますし。

ところが、第2クールに入るとキラとアスランが対立し、シンは恩人と気づかぬままトダカさんを撃ってしまう。そして、ステラが死んでしまってからのシンは、ダークサイドへとまっしぐら。さらに、シンを導いてくれると思っていたアスランはぐるぐるハツカネズミ。後から出てきたキラは神様状態。

おいおい!!シンが主人公の成長物語じゃなかったの?いったいこの後どうなっちゃうの!?

ここで、予想外の展開に観ている視聴者は最初の混乱を起こしたのだと思うのです。

【DESTINYはシンの成長物語ではなかった】のでしょう。監督は、『アスランはシンをすくい上げようとは思っていなかった』とも仰っていました。


『DESTINYはシン、アスラン、キラの三軸のお話です。そして、その中でも中軸にいるのはアスラン。スペシャルエディションはアスランが主人公です。』

私は、アスランが主人公というこの主張には頷けるのですよね。
「DESTINY」で、幾多の試練を与えられ乗り越えてきたアスラン。「DESTINY」はアスランの成長物語だと言ってもいいと私は思っています。だから、主人公としてふさわしいのはアスランだと。でも、『可能な限り考え抜いたシナリオと構成』ですから。

アスランが主人公の成長物語であれば、本来ならば、最後に敵を倒すのはアスランです。でも、DESTINYはそうはならなかった。最後にメサイア内で議長と対峙したのはキラでした。このことが、またも視聴者を混乱させることになったのではないでしょうか。

幾多の試練を乗り越えながらも、キラにいい所をもって行かれ成長物語の最後の起承転結の「結」の部分を用意してもらえなかったアスラン。

だから、『スペエディはアスランが主人公だと言っていたのに、ただナレーションやってただけじゃない!!』と言われることになってしまったのだと思うのです。 

そして、こういう状態だったから、『アスランが望んだものはなんだったんだろう』というような疑問も出てきてしまうのではないかと思うのです。

【DESTINYはアスランの成長物語でもなかった】のでしょう。 

では、この三軸でいったい何がやりたかったのか。
それは、以前雑誌のインタで両澤さんが言っていたこと。
一つ目は『情報過多による迷走。』だと思うのです。

テレビやインターネットから発信されるいろいろな情報に囲まれて生きる中で、いったい何を選べばいいのかわからなくなってしまう子どもが、今の時代、多いと思うんですけど、そういうときに情報をきちんと受け止めることなく、自分の楽な方向に行っちゃうと思うんです。

議長とデスティニ-プランをこの物語の中心において、
『優しい気持ちの良いウソと、凄く嫌なイタイ真実、どっちがいいですか?』と視聴者に問いかける。

最初は議長に騙され、後にその真意に気づくアスラン。最後まで議長に従ってしまったシン。主に迷走するのはこの二人。(この二人がこのテーマの主な担当者なのだと思います。)そして、離れた場所にいて、議長を疑い、ずっとその真意を探っていたキラ。この3人の軸をメインに色々なキャラクターがそれぞれどう考え、どう行動したかを見せる事によって視聴者に考えて欲しかったのではないかなと思うのです。

とりわけ、新しい主人公であるシンに今の子供達の等身大の姿を写す事によって、この情報社会の中で、自分に都合の悪いことには耳をふさぎ、優しいことを言ってくれる者の言うことにのみ耳を傾ける事によって、知らない間に利用され犯罪にさえも巻き込まれていく危険性があるのだと警鐘を鳴らしたかったのかもしれないと思います。

シンはそういう役目。等身大の10代の若者。

アスランは、議長と直接会って話し、一度は信用したものの
『議長やレイの言うことは、確かに正しく心地よく聞こえるかもしれない。だが、彼らの言葉は、やがて世界のすべてを殺す』
という、その裏にある真実に気づきました。そして、自分と同じく議長の駒として利用されたシンやミーアとも係わり、デスティニープランを自ら体験した者として、議長にはきっと言いたい事が山ほどあったはず。

両澤さんは最終回のメサイア内、『アスランはあの場所にいる権利があった』と仰いました。当然です!!デスティニープランについて一番よく知っているのはキラではなくアスランなのです。議長に物申す権利が一番あるのもアスランだと思うのです。
だから、スペエディではアスランが主人公と言っただけあって、あの場面にちゃんと付け加えられていました。
でも、ただ居ただけで、言いたい事は言わせてもらえなかった。。。(T_T)

(しかし、アスラン視点のジ・エッジでは間違いなく主人公ですから、ちゃんと議長に言いたいこといってましたよね。)

この場面は、議長&デスティニープランとの最後の対決をアスランにさせることなく、両澤さんが一番始めに掲げたというもう一つのテーマの結で締めることになるわけですよね。

『戦っていいこと、悪いこと』

一番はじめに掲げたテーマは「戦うのはいけないことか」ということでした。前作は「戦ってはいけない」だったんですが、その考えが行きすぎると、何に対しても抵抗できないわけですね。「いかなる理由があっても戦いはいけません」ということは、「じゃあ、攻撃されても防衛できないんですか、と。「守って生きるというのは何でしょう」ということを、今回はテーマに持ってきました。

『俺達は、何とどう戦わなくちゃいけなかったんだ』と問うたアスラン。

遺伝子レベルで人間を管理する社会。そこには戦いはないかもしれないけれど進歩も希望もない。与えられた人生をただ送っていくだけ。生きながら死んでいるような世界。
スペエディ4でラクスが語ったことはとてもわかりやすかったと思います。

だから、『戦ってよいのです』と言ったラクス。
そして、『僕は戦う』と言ったキラ。
このテーマの担当者はこの二人。

議長が恐れていたのは、ラクスとその剣であるキラだけでしたし、遺伝子研究の権威でありデスティニ-プランの提唱者である議長とクローンのレイを相手に最後に対決するのは、遺伝子でつながりのあるキラでなければならなかったのでしょうね。
議長にだまされた視野の狭いアスランでは、相手として不足ということなんでしょうか。。。。(T_T)

(SEEDでもそうでしたが)自分は何も見えていなかった、何もわかっていなかったという事を、またもや思い知らされたアスランが「DESTINY」で見つけた答えは『諦めない』という事だったと思います。

カガリの事も、世界の事も諦めない。

デスティニ-プランを否定し、また混沌とした世界に逆戻りするのであれば、「諦めない」ことはもしかしたら一番大切な事かもしれません。
ラクスも言っていました。
「怖いのは、ここまでだと終えてしまう事です。」
諦めたらそこで終わりなのです。

だから、ヘタレに描かれ、何も得られなかったように見えるアスランですが、すがすがしい自信に満ちた顔で「諦めない」と力強く言いきれるのであれば、それはSEEDのときに比べたら大した成長だと私は思うのですよね。

議長&デスティニープランが中心にあって、シン、アス、キラ、そしてこれにレイが絡んでくるというのがこの物語の構図。ナチュラルvsコーディネーターというテーマは「DESTINY」ではいつの間にやらどこかへ行ってしまっています。

劇場版はこの続編になるという事ですが、何をテーマにしてどうするつもりなのでしょうか。
でも、また混沌とした世界で戦っていく事になる訳ですよね。
という事は、振り出しに戻るわけで、ナチュラルvsコーディネーターもまたありえるという事ですよね。。。
いや、もう、キラ様主人公、Sフリーダム万歳でもOKですから、とにかくわかりやすく消化不良起こさないようにまとめていただければと思っています。

その2へ続く。。。

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